20年も生きてきたのにね

 話のタネが自分の中から出てこないときは、カレンダーを眺めてみる。今日は「成人の日」だ。これに乗じて、自分がハタチだった頃の思い出語りをするのは安易なやり方だ。でも、安易上等。安易サイコー。僕がハタチだった頃は体育会系部活の学生だったので、遊びの少ない日々だったと思う。

 当時の大学生のイメージは、季節のお遊びサークルに入って他校の女子と合コンざんまい。授業そっちのけでバイトに明け暮れ、稼いだ金で遊びまくるというもの。そんなヤツ周りにいたかと思い返すと、自分の学校にはそういうタイプは見なかったような気がする。よその学校のことは知らない。

 とにかく部活しかない生活だったので、たまに休みで地元の人間と話しても話題がない。部活での面白エピソードのようなものは、ほとんどが楽屋オチで一般的には使えないものが多い。そうやって段階的に地元の仲間とは疎遠になってしまう。そんな時期の成人式だったので、特に思い出もない。

 本当の意味で疎遠になっていた小・中学校時代の友達には会いたかったので、彼らの顔を見たくて成人式には出た。確かに知った顔の連中は大勢見かけたたが、みんなヨソヨソしい。あからさまに無視されることはないが、避けられているのは明白。それは「もう友達じゃない」という宣言だった。

 幼稚園から高校まで一緒だった幼馴染と鉢合わせたので、そいつと二人で式の次第を見ていた。そいつとは、それ以来会っていない。あの日、勝手に思い知らされた疎外感は、あいつも共有したと思う。内心ではあいつも地元と決別したのかもしれない。仲間がいなきゃ、愛する理由もない土地だ。

 そういえば、成人式でイチバン目立っていたのは、小学校で僕が最初に友達になった男だった。仲の良さに甘えて、あいつとは雑な付き合いしかしてこなかった。中学校の時点で微妙な距離を感じたものだ。成人式で楽しそうに動き回るあいつは、あの頃から変わらない気のいいヤツのままだった。

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インド山岳地帯で見かけた祭の様子。成人式もこんな感じで傍観していた。