丁寧なハラスメント

 どんなことにもハラスメントを付けると、問題行動のような感じが演出できるようになった。僕が今被っているハラスメントで言うと、長期間通っている歯医者のことが思い起こされる。長いこと通っているので、細かいところが気になるのだ。知りすぎるとアラが見えてしまうということだろう。

 ちなみにハラスメントという言葉を検索で調べたら「嫌がらせ」という意味だそうだ。受け手がどう感じようと、発信側にその意図がなければ本来は嫌がらせとは認定されないはずである。でも、現在で言うところの嫌がらせ(ハラスメント)は、受け手の感覚だけが尊重される傾向のようである。

 僕が歯医者で感じるハラスメントも、この現代ルールに則った物に当たると思う。つまり、与える側にとっては善意と言える行為だ。それがどのような行為かと言うと、平たく言えば「バカ丁寧」なのだ。ひとりの看護師(厳密な肩書きは知らない)が、身振り手振り言葉すべて過剰に丁寧なのだ。

 その所作や言動に触れて感じるのは、その人が「絶対にクレームを受けないように」頑張っている風に映るのだ。自然さが微塵もない。すべてがポーズ。こういう人の素顔は怖そうだと感じてしまう。だから、あまり当人の印象に残らないように、かなり適当に話を聞くフリをして誤魔化している。

 その人を長年通っている僕の印象だけで勝手に想像すると、子供をあやすのに長けているように感じているようだ。僕がそう感じているのではなくて、その人が自分の長所としてそう踏まえていそうだという想像だ。歯医者で泣き叫ぶ子供はよく見るので、確かに彼らの対応に長けた人は頼もしい。

 でも、僕の文面でも分かる通り、それは「果たしてそうかな」という怪しい長所だ。その人は、丁寧で声がデカイのだ。その大声で、子供の叫び声を相殺しているのである。叫ぶ子供も、その異常さに気付いて大人しくなる。笑いながら脅す、そんな看護師がいる歯医者。疲れるから転院したいぜ。

f:id:SUZICOM:20200114174532j:plain

歯医者で治療中、クセのあるウイスキーの香りに似たニオイが漂う時がある。