言って良いこと、悪いこと

 高校を卒業して30年近く経つというのに、同じ高校出身の人に会うと親近感を覚えてしまう。思い出語りをすると、結局は「つまらない学校でしたねぇ」という落とし所しかないのだが。それでも、中学生の段階で「あの高校を選んだ」という選球眼というか、センスの近似値が合う予感がする。

 僕の出た高校は、世代によって評価の分かれる高校でもある。僕よりも上の世代の人にとって「地元で誰も行きたがらない」と評判の不良校だった時代もあるそうだ。僕らの頃は平均ど真ん中というか、まあ学力的に普通のヤツが行く学校という感じだった。僕の目あてもラグビー部だけだったし。

 そして、後輩の世代になると英語科ができたり、近くに駅ができたりして瞬間的に人気が上がったという。そのバブル期を経て、でも今では学校のすぐ隣に新しい私立校ができて人気が分かれているみたいだ。結果的には僕らの世代と大して変わらない「ザ・普通」が引き継がれているように思う。

 その普通というのは、別に勉強に関してのことで、人間が普通というわけではない。みんなそれなりに個性的なはずなのだが、それでも当時を思い出そうとすると際立ったエピソードが思い浮かばなかったりする。同じ部活の連中と話していると思い出すのだが、個人としての思い出が希薄なのだ。

 昨日、よく行く飲み屋の店員さんが僕の高校のひとつ上の先輩だということが判明した。本当のことを言うと、この話を聞いたのは昨日が初めてではない。でも、飲み屋では酔っ払っているので、すぐに思い出せないことは勘弁してほしい。その先輩も、高校の頃の記憶はあまりないと言っていた。

 ただ、現状の在りようを見ている限り、かなり僕との近似値を感じてしまう。趣味や思考が完全一致しないまでも、なんとなく「わかる」ような気がするのだ。当時のことをいくつか確認したが、共通する知り合いもいるので話したいことはある。いくつもある。だけど、昨日はまだ我慢してみた。

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俺と一緒に記憶を遡る旅に出よう。旅、何年も行ってねぇなぁ。