リトルビットドリンク

 飲酒を許される年齢になっても、すぐに酒を飲むこと自体が好きになるわけじゃない。学生ノリの合コンや部活の打ち上げなど、飲み会自体はとても楽しいと思う。でも、それは「たまにやる」から楽しいのであって、飲酒する習慣は身についていない。宴会の時以外は特に飲まずに過ごしていた。

 ただ、体が大きいので酔いが回るのが遅いらしく、学生時代に酔い潰れた記憶はほとんどない。吐くまで飲むのに、吐いてから復活して楽しくなったりする。宴会の時はなるべく帰りたくないので、朝まで楽しさを持続させようと体が頑張るのだろう。若い時は、とにかく元気だったということだ。

 30歳を境に、ひと晩中起きていることがツラくなったので、長丁場の飲み会はあまりなくなった。その日のうちに終わるし、できればタクシーを使わずに帰宅したい。そうやって、盛り場からは徐々にフェイドアウトすると思っていたのだが、40前に地元の酒場を開拓して常連化してしまった。

 かつては酔うために飲んでいたビールを、今では本当に旨い飲み物だと思っている。採血して調べる数値によると、僕はビールを「控えなければいけない」と注意書きされるような良くない数値が出ている。そんな注意書きをされるくらいビールしか飲まなかったので、やめるなんて不可能な話だ。

 学生時代の雑な飲み会では、瓶ビールをケースごと座敷に置かれて「勝手に飲んでくれ」という格安飲み放題の店に行くことが多かったように思う。そのケースから出した瓶ビールが、とにかく不味かった記憶があるのだ。悪童どもに仕方なく与えるエサのような感覚で飲まされていたように思う。

 そんなビールへの悪いイメージがガラッと変わるパラダイムシフトが起こったのが、倉庫でバイトをしていた20代中盤あたりだ。夏の暑い盛りにコンテナの荷下ろしをしている時に、水着のお姉ちゃんがジョッキ片手にポーズを取るポスターのイメージが浮かんで、心から生ビールを欲したのだ。

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とにかくビールを美味しく飲むために、出張先でもいろいろ用意する。