日曜日のギター

 昨日は昼から、よく行く酒場のたこ焼きパーティーに参加した。たこ焼きを口実に、会費制の飲み会をやるのだ。飲み放題なので、僕のようなビール大好き人間はお得感がある。いつもはブレーキをきかせて飲んでいるのだが、完全フルスロットル状態でずっと生ビールばかり飲んで幸せな時間を過ごした。

 普段の酒場とは違い、飲み物やフードを持ち込むのも自由だし、ギターを弾いている人間もいた。アコースティックギターがあると、ついレッドツェッペリンの名曲を弾きたくなるオールドスクールな人間だ。でも、友だちに習って覚えたはずのコード進行をすっかり忘れてしまった。記憶とは儚いものだ。

 ギターを弾きながら、いろんなリクエストに答えて歌えられたら気持ち良いだろうなと思うことがある。僕は古い歌謡曲へのリスペクトが強いので、そういう過去の忘れたくない名曲を掘るのが好きだ。よく動画検索で、昔の曲を探っている。そんな曲を織り交ぜながら弾き語りができたなら最高なんだが。

 昔の歌謡曲って、なんだかとても悲しげだったりする。日常が総じて不幸だから、暗い曲の方が共感を呼んだということなんだろうか。世相を反映するとはいえ、積極的に「不幸な方を選ぶ」タイプの人間が曲の主役になっているような気がする。不幸というか、悲しみを背負っている人間とでも言おうか。

 その暗さが魅力でもある。僕の好きなジャンルというか、ひとつの括りとして「角川映画の主題歌」の系譜がある。ジャンルといっても、ここではひとりの女優(または歌手)のことを指している。薬師丸ひろ子だ。そこで歌われた楽曲群は映画の内容とリンクしているんだと思うが、曲単体として好きだ。

 前に観た弾き語り系のライブで、かなり若いミュージシャンが彼女の曲をカバーしていた。若い世代にちゃんとバトンが繋がれている瞬間を目撃したような気がして、不覚にもウルッときてしまった。そのミュージシャンには何の思い入れもないのだが、完全に曲によって郷愁が呼び起こされた瞬間である。

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確かこのライブで聴いたような気がする。曲は……忘れてしまった。