親しき仲の礼儀を失する

 友達の家に遊びに行くときは、お土産を持って行くようだ。家族間の交流のような場合であれば、そういう気遣いは思いつく。でも、独身者の僕が結婚した同級生の家に遊びに行くときは手ぶらで行ってしまう。散々ご馳走になったのに、なにも支払わず帰ってきてしまうので図々しいったらない。

 みんなで買って持って行こうと寄り道してから向かえば、僕はちゃんと良いものを買うタイプだ。お土産を選ぶのは好きで、自分では選ばないが人からもらうと嬉しいものを探すので時間がかかる。そうやって真剣に選んだものが相手に刺さることはあまりないのだが、自己満足度は高いと言える。

 今の気持ちを持続させていれば、次に会った時に「この間渡そうとして忘れたから」と差し出せば良い。それは自然な行為だし、それで印象も多少は上向くかもしれない。または、忘れていたことを思い出し「そういえばコイツは図々しいヤツなんだ」と再認識されてしまう可能性も否定できない。

 まあ、自分の印象がどうなろうが知ったこっちゃなく、僕としては「楽しいモノ選びの機会」がひとつ増えたと言える。よく飲む夫婦なので、絶妙な価格帯のシブいウイスキーなどをチョイスしたいところだ。この辺は全然詳しくないので、そういう時のアドバイスを得るために酒場に通っている。

 そういえば最近は「クラフトジン」という言葉をよく聞く。スピリッツを家で消化するのは難しいかもしれないが、ジントニックくらいならどの家でもサクッと作れるだろう。僕はジンよりもラムが好きだが、こういうプレゼントには自分の好みよりも流行を取り入れた方が喜ばれそうな気がする。

 とにかく「消えモノ」がプレゼントには向いていると思っているので、賞味期限がないアルコール類は気安く贈れる。とはいえ、僕はいつまで人の家に押しかける立場のままでいるのだろう。本来ならば、僕も家に仲間を招待しなければいけない。実家で「親もいますがどうぞ」とは言いにくいが。

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ビール専門店で見つけたコンブチャビールは、鮮やかな見た目でお土産に最適。