オペレーション中の浮気
意識しているのを忘れたい事柄ほど、意識せずにはいられない。むしろ、余計そのことに執着してしまう。無意識の状態は、意識したら到達できない境地なのだ。それでも意識してしまう。常に頭の片隅にある。中毒者のように、いつでも「ビールが飲みてえなぁ」と強く強く思い続けているのだ。
飲みたいのなら飲めばいい。誰も止めてはいない。いや、正確に言えば医者からは「ほどほどに」と言われている。それを真に受けて、自分なりのほどほどで飲み続けて５年くらいか。その間に尿酸値の数値も改善せず、肝機能の数値も悪化し、中性脂肪の数字も僕をコーナーに追い詰めるという。
いい加減、何もしないではいられないと思い立ち、ちょっとお酒をやめてみることにした。お酒をやめるとは、僕の場合ビールをやめること。それ以外のアルコール類なら、やめても特にツラくない。僕が酒を飲むという場合、それはビールを飲むこととイコールだ。日本酒に関しては飲めないし。
我慢は最初が肝心で、そこさえ抜ければ、あとはゲームの要領だ。とにかく、惰性で飲んでいたこの数年を反省して、一度カラダをクリーンにしようという試みなのだ。脳が覚えている飲酒による快楽すら忘れるくらいの期間を断酒したいと思っている。それが、どの程度の期間なのかは知らない。
昨日は最初の禁断症状がきた。というか、頭の中では半分以上諦めかけていた。もう負けてもいいやと、飲んじゃおうと思って仕事場を後にしたのだ。それくらい仕事が終わった達成感があったのだ。いつもの居酒屋に行き、それでも最後の抵抗として１杯目だけアルコール以外の飲み物を頼んだ。
やっぱり店に来てしまうとダメだ。周りの人が飲んでるし、目の前にはビールサーバが「注いでくれよ」と待ち構えている。そのうち飲み仲間のひとりが来店し、隣に腰掛けた。いま断酒している旨を伝えた瞬間にスイッチが入り、やっぱり飲まないぞと切り替わった。さて、どれだけ続くことか。
