かたちのちがうもの

 以前、バイトで長いこと倉庫の仕事をしていたので、慣れてくるといろんな業務をやらされるようになる。そんな業務の中で「検品」があるのだが、これが苦手だった。苦手というか、どこまでチェックしたらいいものか測りかねるのだ。人によっては雑に通すし、別の人は入念にチェックするし。

 あとあと聞いたところ、入念チェックの人は「検品中は力仕事をサボれるから」という理由でゆっくりやっていただけだという。特に夏場の荷受けは地獄なので、その人は率先して涼しい部屋で検品していた。でも、その人は入念にチェックしているわけじゃなくて、ゆっくりしているだけなのだ。

 それでも僕が検品する時もあったので、サボらずに淡々とこなすことにした。チェック項目の用紙を会社が用意してあるので、こちらは判断する必要はないのだ。ただ、その数値内に収まっているかの確認だ。だから、淡々とやれば5分で終わる。雑にやっても、用紙に記入するので5分はかかる。

 そのチェックで引っかかる製品が出ると、場合によっては同じロットの全品検査ということになる。大ごとになるので面倒なのだが、これをスルーすると出荷先でのクレームとなるので問題が大きくなる。僕はバイトだったので、そこまで責任を負わされることはない。ただ、始末書は書かされる。

 おぼろげな記憶では、入社後(バイトだが)何年目かに検査員講習を受けさせられる。それは社内規定のようなものなので、公的な資格という意味では全くない。そうして検査員となり、検品した後に自分の名前を記入させられる。だから、検品ミスした人間は見つかるし、ミスの理由も聞かれる。

 僕の性格なのか、チェックを正確にできる時と感情的な時のムラっ気が大きくある。時には「この数値的には不良品となる物の方がキレイ」などと思ったりする時もある。それでも不良品と見なすが、気持ちの上では納得していない。ただ、そこの製品は性能重視なので、見た目は関係ないのだが。

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膨大な枯葉の前になすすべなく立ちすくむチリトリ、公園の異物。