ビトゥイーン灼熱&極寒

 暑がりな僕は、夏よりも冬場に警戒していることがある。夏の暑さに関しては、万物に等しく暑いので、大汗かきでも問題ない。暑いから汗をかくというのは、誰にでも備わった体の仕組みだ。でも、冬は寒い。寒いから厚着する。そのまま電車に乗る。電車内は暑い。そして僕はまた大汗をかく。

 すべての人が電車内の暑さを憂えているのならば、何も問題ないだろう。冬の電車も暑いというのが常識なら、僕だけビショビショでも何ら違和感ないはず。むしろ、それだけ大勢の人間が不快なら冬場でも温度をコントロールするシステムを導入するだろう。個人的には人感センサーを希望する。

 夏の電車は寒い。特に、僕のように終点まで行く電車に乗る人間は、キンキンに冷やされることになる。だから、暑がりなはずの僕でも夏の電車移動時にはカーディガンを持って行く。それを着ても寒いと感じるので、両腕を抱いて震えながら座っている。周りを見ると、みな同様に青ざめている。

 電車に適温はないのだ。だから、コチラが服装で対策するしかない。しかしながら、夏はカーディガンくらいでなんとか凌げるが、冬は着ているものを脱がなければいけない。暑いと感じる前に脱がないと、人が密着した状態では脱げない。しかも、周囲の人熱で暑さが倍増し、滝汗が止まらない。

 発汗ボタンを押されたら最後、その電車を降りるまでは滝の水は枯れない。若い頃は恥ずかしすぎて、全然用もない駅で降りて涼んだりした。それでも、再び灼熱の電車に乗り込むと、早速超絶発汗モードに戻る。そんな状況はずっと変わってないので、僕のような人間が少ないということだろう。

 帰宅ラッシュの時間に電車に詰め込まれて、僕はずっと汗を拭いていた。窓ガラスを見ると外気との温度差でガラスが白く曇っている。もしかしたら自分の周りだけが異常に温度が上がっているのかと心配になり、遠くの窓ガラスを見たら、そっちも曇っていた。まったく、何を心配してんだろう。