我が名はデストロイヤー

 今週に入ってから、我が家の隣の家が建て替えると言うことで、毎日重機で家を破壊し続けている。僕は朝あまり早く起きられないので、ここ数日は工事の音で目覚めることになる。当初はストレスに感じるかとも思ったが、起きて部屋を移動してしまえば、音自体はそれほど気にはならなくなる。

 それよりも振動の方が響いてきて、その揺れが不安ではある。我が家の耐震性をまったく信用してないので、何かしらの影響を受けそうな気がするのだ。そんな不安が伝わり、隣の建て替えの余波が我が家にも襲ってきそうな予感がある。その時は、どうか丁重にお断りしてほしいと願うばかりだ。

 出かけるときに隣を見ると、日ごとに住居の様子が変わってくる。昨夜じっくり眺めたら、どうやら一番奥の壁だけが残された状態のようだ。そして今朝、チラッと見たところでは残骸が残っているようである。早くすべて片付いた更地を見たいのだが、良きタイミングで見られるかは分からない。

 学生時代、手っ取り早い日払いバイトで、ビルの解体があった。ひたすら壁をぶっ叩くだけの作業で、いかにも体育会系部活の人間に回ってきそうな仕事だった。オールドスクールな現場感が好きな仕事だったけど、仲間のひとりが飛んできたコンクリート片で頭から出血して以来やらなくなった。

 とにかく学生時代というのは、よく分からない仕事を「金をもらえるから」という安易な理由で引き受けたものだ。街中の「新商品アンケート」なんかも、そのモノにつられてホイホイついて行ってしまった。そのアンケート自体はクリーンなものだったが、あとから怪しい話をよく聞いたものだ。

 部活の絡みで、謎のOBに謎の仕事を斡旋されることもあった。それも解体の仕事だったのだが、今では行った場所も仕事の内容も、ギャラをもらったかどうかも不明だ。ただ、空き地にポツンとコンクリートの建物があって、その廃墟のようなビルを壊す仕事だった。完全に解体した記憶はない。

f:id:SUZICOM:20191018133233j:plain

朽ちかけた建物や錆びたトタンの質感は好きだが、廃墟マニアではない。