年の瀬音楽巡礼

 年末に友達に誘われて、新宿にあるディスクユニオンを何店舗か巡ってきた。友達の目当てはレコードを買うことで、僕は何かのインスピレーションを求めて行った。別に音楽を生業にしている者ではないのだが、仕事や普段の遊びなどのちょっとしたアイデアを音楽から得られることはあるのだ。

 まず向かった先は、ビルの全階が異なるジャンルの専門フロアになっていて、最上階がパンクマーケットとなっていた。実は最近、動画チェックでやたらとパンクの情報が出てきていたので、ほんの少し興味はあった。でも、パンク専門と言われると腰が引けてしまうので、興味がないフリをした。

 そのビルのロックフロアから見てみることにした。あまり専門性が強くない方が、ジャンルをまたいだ面白い出会いがあるような気がするのだ。各フロアは非常に狭く、客が数人いるだけで圧迫感を感じる。それでも、最初のフロアに入った瞬間に店内に流れていた音楽で興味のスイッチが入った。

 それはジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズの曲だった。聴いた瞬間に分かったわけじゃなく、流れている音楽を調べてくれるアプリを使った。便利な時代だ。シャイな人間でも店員に聞かずに曲名を知ることができる。それは便利な反面、店員とのコミュニケーションを取らなくなる。

 直接聞けば、きっとその周辺情報も教えてくれるはずだ。その曲が好きでかけているはずだから、その趣味を拡張する手助けをしたいと考えるのが音楽マニアなのではないかと思う。かつて酒場にいたメタル好きが酒場の店員に何十枚もメタルCDを貸した話を思い出す。いわゆる布教活動である。

 僕はひとつのジャンルを深く掘るタイプではない。幅広く良い曲はなんでも聴きたいと思っている。かつてはメタルしか聴かない偏狭なところがあったが、そういう熱を持って聴く時期は卒業した。今はちょっとだけパンクに興味がある。だから、十枚組のパンクのコンピCDを迷わずゲットした。

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ラモーンズのメンバーが立ってそうなレンガの壁。カラーじゃ伝わらないが。