ヤングアダルトの式典

 子供の頃は本屋によく行っていた。立ち読みしやすい本屋を何軒かハシゴして、ヒマな時間を埋めていた。その頃の薄ぼんやりとした記憶で、棚のコーナー名に「ヤングアダルト」と記載されていた。当時は何のことかわからず、その言葉の響きからエロスの要素を嗅ぎ取ってほほを赤らめていた。

 調べたら、子供向けと大人向けの中間くらいのミドルティーンをターゲットにした感じのようだ。わざわざ表記するような特化したジャンルとして成立したのだろうか。もしくは店主の気分で分類したのか。そうだとしたら、その店の意志を感じるが、本屋通いしていた頃は何も嗅ぎ取れなかった。

 成人年齢が18歳になったと聞いていたが、大半の自治体が今年の成人式の対象年齢は20才だという。僕はあんな式典不要だと思っていたし、今でも要らないと思うが、確かに特定の世代だけ成人式がないというのは不公平だと思う。どこかで3世代合同成人式が行なわれることになるのだろう。

 サブカル界隈の50代男性が「成人式に出なかった、または馴染めずにすぐに帰ってきた人間は何歳になっても大人になれない」と言っていた。そんな人間がサブカル界隈に多いから、実感としてあるのだろう。この場合はアダルトチルドレンと呼ぶのだろうか。僕も、成人式には馴染めなかった。

 今日の出がけに駅に着くと、改めて祝日だったことに気がついた。晴れ着を着た娘の写真を撮っている母親の姿を見かけて、やっと成人の日だと理解した。自分からかけ離れた事象には無関心になりがちだが、成人式には警戒するべき点がある。酔った若者の集団が荒れ狂う場に遭遇しないことだ。

 比較的出不精な僕が、何故かこの日に限って外出することが多い。その出先で必ず成人ルックの団体に道を塞がれる。半分以下の年齢の子供たちだと思って大らかな気持ちを偽装しようと思うのだが、いつも上手くできない。団体への恐怖が反転してイライラとなり、その気分を抱えて酒場に行く。

アフリカの某部族に伝わる成人の儀式がバンジージャンプの祖だと思っている。