ギャップを埋めない生活

 他人とのあいだに溝を感じたり、距離が離れていると思うようなことは、日常ひんぱんにある。知らない人と瞬時に距離を詰められるタイプの人もいるが、僕はどちらかといえば様子見なタイプだ。様子を見て、行けそうだと思ってもすぐには動かず、なんなら結局は何も働きかけなかったりする。

 消極的だとか引っ込み思案という意見もあるだろうし、自分で自分をそう見ている部分もある。でも、それは相対的に「めっちゃ距離詰めるのが早い人」と比べているからだ。そして、その早い人の方が上位だと僕自身が思っているからだ。だが、どんなタイプであっても上下なんてないと気づく。

 ただ、ちょっと生きやすそうだなとか、楽しそうだなと思うことがあるだけだ。ルサンチマンに近いかもしれない。自分にないものを相手に見ている。そんなことを考えたのは、僕がよく行くラーメン屋で、店員に言おうと思って言えなかったことがあったからだ。それは昨日の昼メシどきに遡る。

 そのラーメン屋は家系ラーメンの店で、僕はいつも「野菜盛ラーメン」という野菜がドサッと乗ったメニューを頼む。それが、前回行った時は売り切れになっていた。あまり売り切れるものでもないので、もしかしたらメニューの見直しで終売になるのかと心配したが、昨日行ったら復活していた。

 ちょっと値上げしていたが、他のメニューも一律上がっていたので気にはならない。迷わず野菜盛ラーメンを頼んだのだが、いざ目の前に現れたのはネギラーメンに見える。いや、ネギと増量したほうれん草とキャベツだ。以前はモヤシがどっちゃり乗っていたので、リニューアルしたと判断した。

 店員が手渡す時に「野菜盛でーす」と言いながら出したので、メニュー間違いということはない。でも、トッピングのラインナップを変えた件について聞くくらいはしても良かったかと思う。でも、なんとなく気分の良い答えが返ってこない予感があったので、聞けずに帰ってしまった。心残りだ。

他人とのコミュニケーションに疲れた時は、海辺にキリンを見に行くのが効く。