誰かのヒストリーX

 歴史というのは為政者の都合で書き換えられると言う。誰かが天下を取るたびに、それ以前の歴史で不都合な部分は改ざんされてしまう。それは今も通じていて、国のトップの都合で誤魔化されていることは多々ありそうだ。調べてないので詳細は知らないが、流布された情報は信じない方が良い。

 僕は他人の影響を受けやすい部分があると自覚しているが、なるべく対象を信じるまでのフィルタを厚くしている。時間をかければ本質を見抜けるようになるとは思わないが、長い時間を経ても僕の心を揺さぶっているものは、その段階ですでに僕に影響を与えている。つまり、もう手遅れなのだ。

 佐野元春忌野清志郎は、僕の初期設定に組み込まれている。モロに影響を受けてフォロワーになっているということではないが、彼らに恥じない生き方をしたいという気持ちはある。実際には恥じる部分ばかりだけれど、指標として常に在る先人たちだ。この2人への信用は、揺らがないと思う。

 僕のような支持者から見ると、批評性の低い偏った評価になるだろう。反対側からの意見がないと、その人物が立体的に表れてこない。信じた誰かの言葉を受け取るだけの関係性は、非常に平面的で、閉じてしまっている。広がりを持たせたいのなら、立体化させたいのなら、本人に会うしかない。

 ご存知のように、忌野清志郎にはもう会えない。音楽は死なないが、もう形而上の世界にしか存在しない象徴となってしまった。ライブも観たことがないので、永遠にその機会は逸してしまった。でも、数多の残された映像群が、まだこの世に存在しているかのような強烈な印象を与え続けている。

 佐野元春のライブは何度か観られた。間に合ったという感覚だ。音楽以外の何かを期待していたわけではないのだが、MCで最高のギフトを贈られた。その言葉は今でも刻み込まれている。そこを太字にして誰かに伝えようとするから、僕によるチューニングがなされて正確な情報になっていない。

僕がいくら声高に「このトタンのサビ具合が良いよね」と言っても伝わらない。