あたらしい頭の模索

 僕は髪型にこだわりがない。不潔に見えなければ良いかなとは思うので、伸びてきたら切るようにしている。本当は短めにしたいのだが、頭のカタチが歪(いびつ)なので、カタチがはっきり分からない程度に伸ばしている。でも、最近は頭髪が薄くなってきて、頭頂部のボリュームが物足りない。

 こうなってくると短髪にした方が、来たる日の覚悟というか、完全に頭部に無毛地帯ができた時に誤魔化さずに済む。もしかしたら、すでに短髪にするとズル剥け状態を晒してしまうのかもしれない。それでも、隠そうとする浅ましさより、潔く晒す方を選びたい。しかし、それは本当に潔いのか?

 薄毛を誤魔化すのも、工夫とアイデアで楽しめやしないか。同じような悩みを持っている人間が膝を打って「その手があったか」と感心するようなテクニックがあるかもしれない。それを模索するのも、今後さらに経年変化する頭髪と長く付き合うコツかもしれない。今後のテーマは新しい髪型だ。

 ここでハタと気付いてしまった。前段で「同じような悩みを持つ人間」と記しているところを見ると、いま僕は薄毛で悩んでいるのだ。虫歯が進行して歯が抜けることに比べれば、頭髪のトラブルなんて些事だと思っていた。でも、最近は事あるごとに頭頂部を触って、ボリュームを調整している。

 この時点ですでに誤魔化しは始まっているのだ。僕の中ではすでに既成事実として、頭髪に問題を抱える人間の一員になっている。これを誤魔化すか、積極的に治療するか、自然に任せるか。いずれかの判断をしなければいけない。時間は不可逆なので、このまま何もしなければ薄毛が進むだけだ。

 もう目を背けるのも、自分の気持ちにウソをつくのもやめよう。本心では「まだ生えていて欲しい」と思っている。細かいところに目を瞑れば、まだ何も問題は起こってないと見ることもできる。でも、当事者の見立ては覆らない。これはすでに抜き差しならない状況であり、取り組むべき課題だ。

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お前はフサフサで良いよな。分けてよ。そっぽ向きやがって。シカトかよ。