鼓動のリズムで舞い踊れ

 音楽を聴くのが好きで、いわゆるロックと呼ばれるジャンルのものを好んで聴いてきた。自分で演ろうとは思わないが、踊る阿呆であろうとは思っている。別にダンスが好きなわけではない。ただ、音楽というものは踊るための道具だと思っている。踊るというか、揺れるというか、ノルというか。

 ずっと室内視聴で事足りていたのだが、ある時期からライブに行くようになる。友だちがバンドをやっていて、その頃の職場が彼らのライブ会場に近かったので顔を出したのがキッカケだ。そこでライブハウスの現場感にシビれてしまい、やっぱ「ナマだな」と実感した。いつでも気付くのが遅い。

 30過ぎてからライブを観に行き始め、それと同時にフェスも流行りだしていたので、いくつかのフェスにも出向くようになった。自分の好きなミュージシャンを追っかけているわけじゃなく、その都度良さそうなライブを友だちに薦められて観に行っていた。最初のうちは人から与えられていた。

 ひとりで行くこともあるのだが、誰かと一緒に行く方が何かと都合がいい。スタンディングのホールだと暑くなるので、上着や持ち物をロッカーに預ける。そのロッカーをシェアすればお得だし、複数人いれば空いているロッカーを探すのも容易だ。良いライブなら、終演後に即感想を言いたいし。

 そうやって何度か現場で観るようになったのだが、フェスに行くと自分が心底ハマったミュージシャンを観れたりする。単独公演を観に行くのは気が引けるほど、ある時期だけ熱心に聴いていたようなベテランたちだ。そういう場面は特別な心境になるし、感極まって薄く泣いてしまうこともある。

 今月、僕がずっと好きなバンドのライブがあったのを忘れて、チケットを取り逃がした。やっとライブに行けるような状況になったので、早めに1発行っておきたかったのだが、仕事と酒場の往復で忘れていた。いつも、年末はライブに行きたくなる。寒さで人恋しくて、聴衆に紛れたいのだろう。

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木枯らしの季節は音楽が沁みる。しっとり系のバラードを選んでしまいがち。