それでも野球は終わらない
草野球の試合に行くたびに、僕は自分に期待している。今日こそは打撃が開花して、ヒットの山を築くのではないのかと。その期待はここ数年裏切られ続けている。期待を裏切るのは罪だと大学のラグビー部のコーチが言っていた。その言葉はフランスの格言ということだが、真偽は定かではない。
チームの人数が足りないので、毎試合助っ人を頼むことになる。助っ人は野球好きの若手なので、みんなやる気満々できているのだ。途中で交代させるわけにはいかない。だから、元のメンバーから交代者を出さなければいけない。そうすると、実力順から考えて僕が交代要員となってしまうのだ。
だから、打席に集中して能力を認めさせなければいけない。でも僕のバッティングは、少年野球の時代に市内の全野球部が集まる中で「悪いフォーム」として紹介された酷いものだ。その時から進歩している可能性は低い。独自に研究したこともなければ、他人にフォームを習ったこともないのだ。
先日も1打席で交代となり、その後は次の試合の審判のことばかり考えていた。塁審の当番として残らなければいけない。僕らが任されるのは2塁の塁審かスコアボードの担当だ。スコアボードはパソコン操作で簡単にできるものだが、試合の経過を集中して見ていないといけないので疲れるのだ。
僕らの試合は惜しくも負けてしまったが、その余韻を感じる暇もなく次の試合の召集がかかる。結局、僕はスコアボードの担当になった。主審の裏から試合を見て、ストライク・ボール・アウトのカウントと得点を入力する役割だ。簡単なのだが、片時も気が抜けない。でも、試合の後なので眠い。
草野球は通常7回までで、それ以外にもコールドゲームや時間制限などで最後のイニングまでできないことが多い。でも、この日の試合は異様に長く、7回まで決着がつかずタイブレークを2回繰り返して9回までもつれた。2時間以上だ。疲れた。その時に昼飯を食いそびれたことに気がついた。