優しい、強い、あたたかい

 昨日は音楽イベントの「第10回パンダ音楽祭」に行ってきた。例年はアルコール持ち込み自由で、飲み食いしながら適当な席で仲間と一緒に観られる自由なフェスだった。でも、パンデミックにより昨年は配信のみとなり、今年は制限を設けて来場者数を絞って、お一人様限定での開催となった。

 マスクして手拍子だけというのは寂しい気もするが、実際の現場での雰囲気は悪くない。演者に対して盛り上がっているオーディエンスの姿を提示できないのは申し訳ないような気もするが、それは今だけの光景として諦めていただきたい。逆にむしろ、盛り上がりを提示する方法を教えて欲しい。

 ここ数年、フェスなどに顔を出すとグッタリ疲れてしまう。後半に向けて目玉となるアクトが出るのだが、それより前に体力を使い切っていることが多い。だから、最後までありがたがれないのだ。楽しむ体力というのは若ければ若いほど高いと思う。僕にとってフェスは、年々億劫になっている。

 そういう意味では、指定席にずっと座って成り行きを眺めているだけの昨日の音楽祭は申し分ない。木製の座席が固くて腰がツラかったが、あの程度は許容範囲だ。着座でのライブは、受け手がただ座っているだけで音楽を浴びることができる。考える余裕があるので、歌詞がズブズブ突き刺さる。

 僕にとって動きたい衝動、声を出したい衝動を抑えるのは容易い。知ってる曲は一緒に歌いたいけれど、そういうノッてる感じを見られる恥ずかしさもあるので、禁止されている方が気楽だ。最後まで観終わった時に不自由を感じることもなかった。ただ、上野なので飲んで帰りたいとは思ったが。

 昨日で一応ラストとなるパンダ音楽祭だったが、その最後を締めくくったのは昨日この日記で紹介したサニーデイ・サービスの「青春狂走曲」だった。曽我部恵一さんのライブ中盤で涙腺が壊れたので、その後は涙と鼻水を拭いながら滲むステージを眺めていた。今んとこはまあそんな感じなんだ。

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上野恩賜公園野外ステージのセットは、手作り感があってホッコリする。