ヤングブラッズすれ違い

 元旦となれば、実家者の家には家族が集まるものだ。我が家の家族で、この家に集まってくるのは妹の家族だけ。その他の親戚はほぼ秋田にいるので、埼玉県の我が家にサクッと来られるのは妹のファミリーだけなのである。我が血族の関東支部としては、僕の家族の周辺にしか広がりはないのだ。

 親戚の家は、物凄く大きい。僕の家族が遊びに行っても、ビクともしない部屋数がある。我が血族のルーツは明らかに秋田にある。と言うことは、現在、埼玉に住み暮らす我が家のグループ勢力を伸ばすためには、僕の結婚が何よりも手っ取り早い。僕からはじまる枝葉を伸ばせば広がるって話だ。

 子供の頃、親戚の家に遊びにいくと、その都度ひと見知りが発症してしまっていた。毎度、数年ぶりに会うので初動で上手く話せない。それに向こうは普段の生活があるので、あまり遊んでくれない。それが、普通に話せるようになるとグッと楽しくなる。上の兄弟がいないので甘えてしまうのだ。

 ある冬休みのこと、ひとりで秋田に遊びにいくことになった。その年は、他の家族は来なくて、自分だけが行って、帰りは祖母と埼玉に戻ってきた。行きの急行列車では、僕は関東の子供らしく短パンで過ごしていた。小5でかなり大きい子供だったので、見た感じの違和感は大きいと想像できる。

 向こうの駅に着くと、ホームには雪が積もっていた。多分寒かったのだろうが、僕は短パンでも平気で過ごしていたと思う。親戚のお姉ちゃんたちに会えることが、僕の温度センサーを完全に狂わせていたのだ。それくらい楽しみにしていたのだが、先様にその期待感が伝わるわけもないのである。

 コチラは小学生、向こうは中学生、当然だがイチバン話が噛み合わない年代だ。僕は大人びた世界に憧れるのだが、親戚の人らもさらにリアルな大人に成長途中なわけだ。子供の僕が提供できるネタもなく、ただ甘えるだけなのだ。距離と気持ちが如実に正比例しているのに、僕には見えなかった。

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車窓の外を見つめながら、こみ上げてくる寂しさをこらえられない子供時代。