グッバイ去年、ハロー今年

 毎年、大晦日に行く酒場があって、その店は特別メニューとしてワンコイン、キャッシュオンで何でも飲み食いできる。ビールもフードもコスパが良いので、いつもより頼んでしまう。普段から通って「どれが得なのか」を知り尽くした常連が多いので、オーダーが偏ってどんどん品切れしていく。

 年末から、肝機能に関わる数値と中性脂肪の爆アガりに配慮して、酒場通いを抑えよう思っていた。酒量を控えて運動をし、エクストリームな食事は取らないようにしたい気持ちを心の片隅に常備していた。とは言え、その数値を知ってから2週間程度なので、その配慮の成果はずっと先のことだ。

 成果がすぐに出ないことは先延ばしにしがちなので、結局この年末はいつものように飲んでいた。でも、常備薬のように配慮を心の底に置いてあるので、飲んだ後の後ろめたさが自己嫌悪を呼んでくる。それが飲んでる途中でもストッパーとなり、抑えるようになった。これは、良い傾向だと思う。

 昨日もガッツリ飲んでる途中で、小休止として一度席を立った。かなり寒かったのだが、外の空気を吸い、自販機で水分補給しようと思った。近くにちょうど良い自販機がなかったので、仕方なく健康飲料風の現実的な金色のドリンクを飲んだ。寒空の下で、炭酸の効いた冷たい飲み物は合わない。

 ただ、このように飲みの席を中座するのは悪くない気がした。もともと僕は、一度飲み始めるとなかなか席を立たない。楽しい場を離れるのも嫌だし、離れている間に場の空気が変わってしまうのも押さえたい。飲み会を途中で帰れないのも「僕がいない所で盛り上がる」のが許せなかったからだ。

 昨日の僕が席を中座したのは、年越しまでの時間を持て余してしまったからだ。別にカウントダウンまでいる必要はないのだが、毎年いるので帰りにくい。その瞬間を共有することで生まれるプチ一体感もある。そこまでの時間稼ぎとして、一度アタマをスッキリさせるため、冷やしたかったのだ。