おもしろすれちがい

 なかなか都合が合わなくて、予定通りに会えない人がいる。もっと若い頃なら「予定は偶然合うもんじゃなくて合わせるもの」などと高圧的に考えていた。まあ、その意見は先輩からの受け売りなのだけれど、いつでも合わせられることはフットワークの軽さとも同義なので、好印象だとも言える。

 僕のような予定スカスカ人間なら、突然誘われても即答でオッケーと言える。でも、会社に勤めている人の場合は職場での立場が強くても弱くても、上から下から引っ張られることがあるだろう。仕事の予定も急に変わるし、歓送迎会や懇親会なども入ってくる。だから、平日はずっと忙しいのだ。

 強い意志を貫いて、公私を明確に分けることも大事なのかもしれない。僕は飲みニケーション歓迎の旧型人間だったので、居酒屋で人間関係を構築するのは悪いことじゃないと思う。でも、就業時間以外で職場の人間といるのは嫌だという気持ちも分かる。有能な人間ならそんな付き合いは不要だ。

 僕が居酒屋で人間関係を構築しなければいけなかったのは、先輩社員に甘えたい気持ちがあったからだ。仕事のことがサッパリ分かってなかったので、酒場トークの行間から盗もうとしたというのもある。正直に言えば、その頃の僕は「何が分からないのかも分からない」という手探り状態だった。

 最初の職場では、その手探り状態から抜け出せずに、ガッチリと芯を捉えて仕事をできるようにはなれなかった。こうすればこうなるという道理は分かるのだが、その通りに動けなかった。その仕事で給料をもらっているのに、いちいち「それをする意味は何だ」とか無駄なことばかり考えていた。

 いま、若い人で予定のやりくりが全然できない人を見ると、振り回されてるんだなぁと思ってしまう。そこに自分が「今度空いてる?」などと聞いて、余計に振り回すことも憚られてしまう。時間が経てば、その人ももっと自由になれるんだとは思う。でも、今は振り回されて学ぶ時期なんだろう。

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泳ごと危険だということを極端な言葉で表現した看板、インパクトは大。