別に、

 自分の好きなものを人からも好きだと言われると、基本的には嬉しいと思う。でも、その対象が商品の類いで、売れ行きが芳しくなくて終売が心配な場合に限られる。逆に、それを周知されることで「大勢が殺到する」という事態が危惧される例もある。飲食店が行列店になってしまうと本末転倒だ。

 最初から相手がソレを知っている場合は仕方がない。その時は、その人の発信力の弱さに期待するしかない。僕も下手に拡散しないように、あまり対象に関する話をしないようにすれば良い。でも、僕の好きなアレを発信力の高い芸能人が興味を示している場合などは、もう諦めるしかないのである。

 かつて、その人間が身に付けたら確実にヒット商品になってしまう芸能人がいた。同世代のいわゆるアイドルなのだが、男性アイドルにしては珍しく同性からも好かれる、または憧れられるタイプだった。僕はモテる人間に対してヒガミしか抱かないタイプなので、当然のようにヒガミまくっていた。

 同世代なので、おそらく影響を受ける対象も近いと思われるのだ。だから、今度ボーナス入ったら買おうと思っていたブーツなどをソイツが履いていたりして、そうなるとメガヒット商品になるので恥ずかしくて購入を見合わせてしまう。とにかく、ソイツからの影響と思われることだけは避けたい。

 こちらの思惑とは裏腹に、商品の作り手にとっては最高のマネキンなワケだ。ソイツが好きで身に付けているだけで、勝手に告知されて売れるのだから。売り手側からもマネキンにアプローチして、「使ってくれ」「着てくれ」となるはずだ。僕がそういう立場だったとしても、同じような手を使う。

 学生時代はお金がないから、センスがありそうに見えて意外と安いものを探し求めていた。社会人になると、もっとど真ん中の「本当に良い物」を一点豪華的に身に付けたいと思うのだが。結局いくつになっても「人と違う物」や「ひねりが効いたデザイン」のものに惹かれる性格になってしまった。

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人は個性を追い求めるから、みんな違う色の猪口を選ぶのだ。