熱く、激しく、クールに

 昨日のラグビーW杯、ジャパンの予選プール最終戦は、行きつけの酒場で高校時代のラグビー仲間と観戦した。店を半分以上貸切にしての観戦は気が引けたが、試合中は画面に集中しているので他の客のことはあまり気にならない。ただ、満席でいつもの知った顔を数人帰らせたことは申し訳ない。

 試合前に、他国の代表が台風で試合が中止となり、水害の後片付けを手伝ったという話を聞いた。自分たちの役割というか、鍛えた体の役立て方として最高の機会だと思った。そういう、誰もが正しいと認められる行動を起こせる機会というのはあまりないので、僕も機会は逃さないようにしよう。

 そして、試合の方だが、ジャパンがきちんとひとつの強豪国として、伝統国でラグビーの上手いスコットランドと対峙している姿が印象的だった。細かいポイントの計算じゃなくて、シンプルに勝ちに行っているのも観ていて熱くさせる。そのポイントの呪縛から逃れて、晴れて決勝進出を決めた。

 このジャパンを見ていると、予選通過することが目標じゃないように思えてくる。もちろん、これまで一度も決勝トーナメントに出たことがないのだから、ここは大きな壁だったわけだ。それでも、このチームはすでに世界の強豪を2チーム倒しているし、何が起こってもおかしくない状況なのだ。

 実力が拮抗している試合というのは、最後は根性くらべなのだが、その根性を支える芯が強い方が勝つと思う。特に、勝たなければいけない理由がある方が強いのだ。その理由が背中から選手を支えてくれ、最後まで折れない根性を持つことができる。そして今回のジャパンには理由があると思う。

 自国開催ということもあるし、この台風による被害に落ち込む列島を奮い立たせる力になるというのも理由になるだろう。自然災害だし、被害に遭われた方もいるので不謹慎かもしれないが、誰かのために何かをするのは良いことだと思う。ジャパンが日本代表じゃなく、全日本人になる日は近い。

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これは芝生ではなく稲穂で、真ん中にいるのはラガーマンじゃなくて案山子だ。