痛みを抱えて眠れない夜

 スポーツマンの中には腰痛持ちの人が多い。長年の運動により腰に負荷が集中して、トラブルを抱えてしまうのだろう。僕が現役の頃は、そんな腰痛持ちの人を「つらそうだな」と他人事として同情していたが、実際の痛みが分からないので共感は持てなかった。現在、そんな腰痛に襲われている。

 数年前に坐骨神経痛由来の腰痛を発症して、腰の専門医で検索した地元のクリニックを受診したことがあった。そこは「痛かったら即注射で楽に」をモットーにした、痛みを取ることに特化したクリニックだった。僕は痛みと向き合って原因を突き止め、その原因を取り去ってほしいと思っていた。

 でも、痛み止めで楽にしてしまうと、その後は腰痛に襲われることもなく過ごせた。治ったという実感はないが、痛くないので問題はないのだろう。そんな風にここ数年間は何もなく過ごしていたのだが、昨夜寝ている間に急な腰痛で寝床の体勢が上手くとれない。どんな姿勢でも痛みに襲われる。

 そういえば、先のクリニックを受診した時にもらった簡易コルセットがあったと思い、恐る恐る部屋を探したら見つかった。寝ながらソイツを装着すると、圧迫感で窮屈ながらも腰は楽になった。ただ、芯の痛みは消えない。治療したわけじゃないから当然だが、また注射を打ちに行くのも面倒だ。

 日曜日に野球を見にいくので、その時は気分良くビールを飲みながら観戦したいものだ。腰に痛みを抱え、コルセットで窮屈な思いをしながら見るのは避けたい。でも、おそらくコルセット観戦になるだろう。今週末はかなり暑くなる予報が出ている。暑さと腰痛の波状攻撃に耐えられるだろうか。

 思い返すと、そもそも坐骨神経痛というのは僕の勝手な見立てだ。医者に「どうしました」と聞かれた時に、勝手に口から出た言葉だ。腰の痛みに唸りながら、寝床でスマホ検索した時に出たいくつかの言葉の中から適当に拾ったようだ。本当の原因は分からないままだ。だから再発したのだろう。

痛みに耐えて寝ている時は、ヒーリングのように上流の情景を思い浮かべる。