口から出てくる悪魔たち

 何がキッカケなのか分からないけれど、急に荒くれる時がある。あまり知らない人間のことを断片的な情報で悪し様に貶したり、その場にいる誰かと仲良しの人間を悪く言ったりしてしまう。そういう時は甘えているのだ。その場で自分が許されているとタカをくくっているのだ。良くない傾向だ。

 よくネットで炎上するタイプの案件というのは、責められる側が一方的に悪いとされる場合が多いだろう。僕が荒くれる場面もそれと大差ない。流れに棹さす変なヤツでいたいのに、流れに便乗するその他大勢に与するようなことを言う。その瞬間は僕なりの正義と思うのだが、それも怪しいのだ。

 結局、現状が仕事で忙殺されたストレス過多の状況ってだけなのだ。職場で大声出すわけにもいかないのだけれど、暴れたい衝動を1日我慢して、その溜まったマグマが酒場で噴き出すのだ。他人にとっては迷惑この上ない話だが、それを止められるほど抑制が効いた人間ならハナから荒くれない。

 言った瞬間から後悔が始まっているわけだから、シラフに戻った現在の自己嫌悪たるや。昨日のそのシーンを回想して、頭の中でデリートボタンを押しまくっている。長押しすれば消えるんじゃないか。コマンドXでカットして忘れてしまいたい。でも、忘れない。今度会った時はちゃんと謝ろう。

 こういうことって、聞かされた相手にとっては「聞き流すタイプの話」なので、あまり覚えてない。前にも同様の後付けの反省コメントをしたけれど、相手は「そんなこと誰も気にしませんよ」と笑われてしまった。結局は自己満足なのだ。そういう行動も自分の正義を押し付けているに過ぎない。

 僕は、どんなことでも良い面と悪い面を繰り返した挙句、真ん中くらいで帳尻が合うようになっていると思っている。ひどく辛い状況を耐えれば楽しい局面が来るはずだと信じている。逆に楽しい時は気を引き締める。そういう警戒の一環として、楽しい場面の最後に嫌なことを言ってしまうのだ。

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自己嫌悪に襲われた日は大人しくしているべきだが、夜になると忘れる。