かゆい夜

 過去に、体が痒くて眠れない夜が何度かあった。手のひらに水泡のようなものが発症し、それが痒くて仕方がない。調べると「掌蹠膿疱症」ではないかと思われたが、それは「無菌性膿疱」とも呼ばれ、直接触れても人に感染することはないそうだ。ただ、自分自身はひたすら痒いという無間地獄。

 これは数ヶ月で自然治癒というか、知らないうちに気にならなくなった。そんな簡単に治るものではないかもしれないので、実際の病名は別だった可能性も高い。ただ、手のひらを水泡で覆い隠される圧巻の画だけは記憶に刻まれている。病的で怖いのだけれど、ある種の造形美を感じてしまった。

 肌に対してかなり無頓着なので、子供の頃のニキビの痕がデコボコな顔面として残っている。つまり、肌が弱いんだと思う。だから、怪我して湿布などを貼ると、必ずかぶれる。でも、痛いから初期は我慢して貼り続けている。そうすると、怪我の痛みを超えて皮膚かぶれの痒みが襲ってくるのだ。

 最近も肉離れしてしまい患部に湿布を貼っていたのだが、かぶれたので湿布はやめた。肉離れは治っていないのだが、かぶれが怖くて湿布を貼れない。その上、ここ最近は夏になると寝汗であせもができるようになってしまった。ただでさえ暑くて寝入りが長引くのに、痒さとの戦いも追加された。

 以前もここに記したが、僕はしゃっくりが長引くタイプだ。しゃっくりも痒みも、他人から見たら「何してるの?」という程度の些事だ。くだらないので相手にもされない。時には「集中しろ」と怒られたりする。大人になってからは怒られないが、子供に対しては比較的強く注意する案件だろう。

 確かにどちらも集中していれば気にならない症状なのだ。それは理解できる。でも、痒かったりしゃっくりが止まらない状態で、そこから集中するというのは至難の技だ。自分の内部に気を散らすシステムが構築されていて、それを自分では解除できない。結局、別の痛みで散らすしかないのかも。

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梅雨っぽい映像でクールダウン。カエルって触ると痒くなりそうだな。