桶に水はりラムネを冷やす

 暑い日にはビールをグビっと飲んで、その日の疲れを労うものだ。年柄年中ビール党の僕だけれど、やはり夏場に飲むのは格別なのだ。若い頃は苦いだけの厄介なアルコール飲料だった印象があったと思うが、その感覚が消えて久しいので、苦味に関する当時の感覚は都市伝説のように実感がない。

 それでも残っている感覚として、真夏の部活がキツかったことは鮮明に覚えている。灼熱のグラウンドで反復練習しながら、頭の中では練習後に飲む飲み物を想像して正気を保っているのだ。学生時代に求める水分は、もちろんビールではない。なるべく清涼感を感じられる飲み物を想像していた。

 よくイメージしたのは、氷で満たされた大きな容器に炭酸飲料のビンが冷やされている様子だった。そこにスイカが置かれていることもある。これは想像にすぎない。実際にスイカを冷やして食べたのなんて、休日返上で部活に没頭する前の幼児体験に近い。そして、今ではスイカも好きじゃない。

 僕が学生時代の頃は、もはや「練習中に水飲むな」の世界ではない。小学生くらいだと、その感覚は濃厚に残っていた。もしかしたら高校の体育なんかでは、その感覚で指導するようなオールドスタイルの輩が残っていたかもしれない。そういう化石野郎が大嫌いだったのであまり覚えていないが。

 とにかく夏の暑さが尋常じゃなくなり始めた初期だと思うので、暑さによる部活禍(部活での行き過ぎた指導による事故)が増えたような記憶が薄らとある。それで、ちゃんと水分補給が推奨されたのだ。その過渡期だったと思うので、ちょっと早く生まれてたら根性論で死んでいたかもしれない。

 適度な水分補給は大事だが、暑さを我慢した後には歯止めが効かない時がある。よく飲みすぎてお腹を壊したものだ。水道水を蛇口から直飲みして、その喉越しの虜になって止まらなくなり後悔することが多々あった。練習中の想像で、あんなに飲みたいと思っていた炭酸飲料を見るのも嫌になる。

暑いと蕎麦くらいしか入らないと聞くが、全然トンカツが食べたい。