君と異なるセンチュリー
僕は女性の服装を例える時に「フォウ・ムラサメみたい」という表現をよく使う。ご存知の通りＺガンダムに出てくるあのフォウのことである。それは、もちろん褒め言葉だ。フォウはマドンナ的な役だし、劇中の服装も同作の中では圧倒的にオシャレだ。それが伝わらないことは悲劇でしかない。
でも、ジェネレーションギャップというものも理解している。１０歳以上離れてしまうと全然伝わらない。以前は熱弁して「あの強化人間のフォウだよ。ムラサメ研究所の４人目の強化人間だからフォウなんだよ」と余計に混乱させる説明を付け加えた。それで「なるほど」と言われることはない。
僕自身はガンダム世代だが、Ｚガンダムという宇宙世紀シリーズの２作目のガンダムはリアルタイムでは観てなかった。ちょうど中学生に上がる頃に始まったので、アニメなどを卒業する時期だったのだ。そして、悪しき体育会的な風習で、文化系の趣味のものをバカにするような世界でもあった。
そんな見逃し感があるので、ある時オタク系の芸人が熱っぽくＺガンダムの説明をするのを聞いて「あ、観なきゃ」と思った。その説明の中で、冒頭のフォウ・ムラサメのことを「悲しい女の子なんだよ。ムラサメ研究所の４番目の強化人間なんだよ」と言って、若い女優に軽蔑されていたのだが。
その芸人に殉じるような気持ちで、僕はいまだにフォウの話をしては引かれている。今日も出先で、まったく同じことをした。たぶん何年かに一度くらいのペースで繰り返している。いい加減、周りの人間もＺガンダムくらい観れば良いのにと思う部分もある。ただ、簡単に勧められる量ではない。
劇場版を勧められればサクッと理解できるのかもしれないが、その劇場版では肝心のフォウのシーンが大幅カットされている。そしてエンディングが全然違うのだ。ぜひＴＶ版を観てほしいのだが、全５０話をコンプリートするのは容易ではない。やはり、しばらく口頭で説明するしかないようだ。
