寮生活のすすめ

 もはや人生折り返し地点を過ぎてしまった身なので、取り戻せないことが、いくつかある。ひとつは高校生活をやり直すこと。高校は卒業してしまうと、二度と入り直すことができないのだ。青春時代に通り過ぎるためだけの場所ということだ。諦めるしかないし、それほど戻りたいとも思わない。

 その後、縁があって大学に行くことになるのだが、スポーツ推薦のような感じだったので勉強をしなかった。授業には出ていた。学科に知り合いが少なすぎて、後でノートを借りるなどの基本的なコミュニケーションが取れなかったからだ。しかし、それは単位を落とさないための作業でしかない。

 だから、大学には入り直したいような気がする。かと言って、今熱心に学びたい何かがあるわけではない。大学は何度でも入り直せる。学びの欲がマックスまで沸騰したら受験すれば良い。こっちはまだ間に合う。ただ、大学生をやり直すなら、できれば寮に入りたい。それも寮母のいる寮が良い。

 学生時代はふたつの寮を経験した。ラグビー部の寮と学校が運営する学生寮だ。部の寮は、寮母さんが大家さんを兼ねた、一軒家とアパートが併設された建物だった。アパート側には6部屋あり、各部屋に部員が約4人ほど分散している。一軒家は食堂と寮母さんの部屋で、食事当番も住んでいた。

 僕は各部屋の部屋長ジャンケンで選ばれなかったので、入寮した際に「とりあえず食事当番の部屋だから」と一軒家の2階に案内された。大柄の人間が部屋にいると狭くなるので、先輩らから避けられてしまった。でも、寮の部屋で先輩に気を使うのは疲れるので、これはひとつの救いでもあった。

 当時は部活がシンドかったので、寮の中だけが安息地だった。そのせいか、他の寮生はいろいろ不満を言っていたが、僕には良い思い出しかない。いまでも良い寮があったら住みたいくらいだ。社会人向けの寮。社員寮ではなく、シェアハウス的なものでもなく、単なる個人向けの寮を欲している。

f:id:SUZICOM:20220112105751j:plain

写真は土産物屋だが、この規模の長屋でミニマルな生活というのも理想的だ。