カウチポテトでシネマデイズ

 僕は映画好きを自認できるほど熱心なファンではないが、ある時期だけヒマだったのでビデオを借りまくっていたことがある。学生時代に全く映画を観ていなかったので、頭の片隅にあった「観たい映画リスト」をコンプリートする楽しさがあった。まずは、その時期の新作から遡って観ていった。

 今世紀に入る頃か、前世紀の最終年あたりが僕の映画鑑賞期だったと思う。まだビデオテープだったし、TVもブラウン管だった。最初の会社を辞めてインド旅行で大陸ボケをこじらせて、しばらくバイトもせず家でボケ〜ッと過ごしていた。その頃のTVは、昼過ぎに海外ドラマを放送していた。

 気になったので調べたら「刑事ナッシュ・ブリッジス」というシリーズものだった。これが特別に面白いわけではないのだが、毎日観ているとクセになってしまう。特にやることもない毎日のアクセントとして、昼飯の後に刑事ものを観るのが日課になってしまった。無駄だけど素敵な時間だった。

 この時間が無駄だと感じたので、せっかく何か観るのならば「映画にしよう」と思って、近所のレンタルビデオ屋に行った。思い返すと、その時までTカードを持っていなかった。そのレンタル店では木曜日が割引日になっていたので、その日にまとめて10本を借りて観るサイクルを繰り返した。

 ヒマな時間は人間をどこまでも堕落させるらしく、そのサイクルに入ってしばらくは再就職することなく、ひたすらビデオレンタルを繰り返す日々になった。まとめてイッキに観るので印象に残らず、せっかく時間をかけても蓄積にはなっていない。ただ、なんとなく面白かったものは覚えている。

 そうやって観ていくうちに、自分の好みがハッキリしてきた。アクションものはあまり好きではないようだ。シリアスすぎてもシンドイので、ライトなドラマというか、割とラブストーリーが観やすいのだ。最終的にはウディ・アレンがフェイバリット監督になるのだが、それはもう少し後のこと。

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映像的な趣味ではシンメな構図が好きなのに、自分が撮ると非対称にしがち。