時間泥棒の被害届

 高校時代は遅刻の常習犯だった。別に寝坊しているわけじゃなく、普通に準備して出るとギリギリになってしまう。入学したての頃は同級生と連れ立って通っていたので、間に合うような時間に待ち合わせていた。でも、次第に各々の都合が生じて個人で通いはじめる。そのうち遅刻が常態化した。

 当時の僕は高校から先に進学する気がまったくなかった。だから、遅刻で下がる評価にも興味がなかったのだ。それは進学希望の人が推薦入試の時に重視する内申書の評価というヤツだろう。本当は就職する場合も内申書の評価は関係するのだが、その辺は考えてなかった。とにかくルーズだった。

 とは言え、授業に間に合わないような大幅遅刻ではない。本当に毎日滑り込みセーフを狙うような登校時間だった。僕のジャストに着きたい願望の目覚めだ。ホームルーム開始のチャイムが鳴る中、廊下を走って担任よりも先に教室に入ればセーフ。優しい担任なら、教室までゆっくり来てくれる。

 遅刻が嵩むと学期末に居残りで外周のゴミ拾いをやらされる。そこに集まるメンツは、不真面目というよりはルーズなヤツらだ。周りを見て自分を知るという意味では、この罰は有意義だったはずだ。でも、当時はそのことに気づかなかった。社会人になれば自動的に遅刻しなくなると思っていた。

 今でも僕はルーズな時間設定で動いている。人の時間を奪うのは罪なので、他人に迷惑をかけそうなときは遅れないようにする。でも、せいぜい時間ジャストが良いところで、秒単位では遅刻する。その割に他人の遅刻には寛容のカケラもない。特に仕事だと、周りの人間のルーズさに圧倒される。

 僕の周りにルーズな輩が集まっているのは、文字通り「類は友を呼ぶ」なのだろう。それを思うたびに、自分はこんなにルーズな社会不適合者なのかと愕然とする。あの高校時代に矯正しておけば良かった。なんなら朝練するような熱血部活野郎としてやり直したい。はじめてのタイムリープ願望。

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田んぼの真ん中にある田舎高校に、自転車で小一時間かけて通っていた。