狭小空間にハマれない男

 過去に僕が病院に行ったのは、ほとんどが整形外科だった。いや、イチバン多いのは歯科医院に決まっているが、いわゆる病院の場合は整形外科が圧倒的に多いだろう。それはスポーツで負ったケガの治療だったり、検査だったりする。骨折したことはないけれど、レントゲン写真は何度も撮った。

 以前、一度だけラグビーの試合中に脳震とうを起こしたことがある。別に体に異常はなかったと思うが、試合中の行動が異常だったので周りに心配された。記憶が続かなくなり、同じことを何度も言うのだ。試合が終わってその症状が収まると、頭がズキズキ痛みだしたので病院に行くことにした。

 その時はおそらく脳神経外科を受診したんだと思う。そこで初めてCTスキャンを撮られたと思う。もしかしたらMRIかもしれないが、どちらにしても脳への深刻な損傷は見られなかったそうだ。その検査の時に「気分が悪くなる方もいらっしゃるので言ってください」と言われたが平気だった。

 若い頃、クルマを買おうと中古車屋巡りをしていたときに、運転席が極小の軽自動車に乗ろうとしたら狭すぎて気持ち悪くなった。同行者がいたので弱みを見せたくなかったから平気なふりをしたが、結構な精神的ダメージを負った。その時の感覚から、自分には閉所恐怖の気があると思っていた。

 だから画像診断の台に乗ったときに「もしかしたらパニックになっちゃうかも」と危惧していた。でも、その時はスポーツでの興奮が残っていたらしく、あまり深刻に考えないうちに検査が終わっていた。閉所を克服した感じではないが、勢いがあればクリアできると知った。ひとつの成功体験だ。

 その後、目が回ってクラクラが治らなくなった時があり、近所の脳神経外科を受診した。その時も脳の画像診断のために、いずれかの検査機に乗せられた。普通に仕事した帰りだったと思うが、スポーツの興奮が残っていないのでちゃんと怖かった。その日は耐えたが、耐え難い気持ち悪さがある。

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閉所恐怖気味だと言っておいて矛盾するようだが、狭小住宅には興味がある。