元シャトルランの貴公子

 小学生の頃は子供ならではの勘の良さとか、聞いたことを幅を持って解釈する理解力があったようなので、勉強しなくても授業を聞いただけでテストの点数は稼げた。ただ、それは長じると誰もが身につけるので、横に並ばれた時点で僕の秀才期は終わった。中学校に入ると、その理解力も落ちた。

 とは言え、中学生までは小学校時代の貯金で、なんとか勉強しないでテストを切り抜けることはできた。高校受験期に向かって着実に学年順位は下がっていったが、その頃は高校に滑り込めれば良しと思っていた。本当に心底勉強が嫌いだった時期だ。勉強よりも大事なことがいっぱいあったのだ。

 本来は絵を描いたり音楽を聴いたり、文化系の素養の方が強かったのだが、圧倒的に背が高かったことと、スポ根もの(主に『キャプテン』と『スクール☆ウォーズ』)の影響で部活方面に傾倒する。岡村ちゃんの歌詞でいう「優勝できなかったスポーツマン」の小さい根性を身につけてしまった。

 せっかく少年野球をやっていたのに中学生になって陸上部に入ってしまったのは、自分を信じきれなかったことと、周囲に「キャプテン」が好きな人間が多数いたからだ。当時から他人とカブることをダサいと思っていた僕は、逆張りで陸上部をチョイスしてしまう。これが部活ライフの始まりだ。

 スポーツを漫画や創作の影響で始めているので、どんな人間も努力なしでは結果がついてこないと思っている。だから、部活での鍛錬は嫌いじゃなかった。ツラい練習はイヤなんだけれど、それを超えた時の達成感はあると思った。こういう我慢を経験するとMだとか言われるけれど、それは違う。

 でも、体力を底上げするための闇雲な努力も大事だが、スポーツにおいて重要なのは理解力なのだ。聞いたり見たりしたことを即再現できれば、それは身についたことになる。繰り返す必要はない。僕のように初めから理解を諦めていると、結果が出るのが遅くなる。それでも反復練習は好きだが。

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人生の岐路をY字路に見立てたりするが、実際のY字路は先で合流できる。