戦乱の時代へ飛べ

 時代モノは一定の人気があると思っていたが、この年末年始のTVでは時代劇を見かけなかった。僕が歴史警察としてしっかり取り締まっていなかったから見逃したのだろうか。でも、僕が子供の頃は年末のスペシャル時代劇が必ず組まれていた。しかも、かなりの大作揃いだったと記憶している。

 かなりの頻度で「忠臣蔵」が放送される。季節モノということだろうか。僕はこの有名な話を最後まで観たことがない。「殿中でござる」というセリフに耳馴染みはあるが、話の全容や登場人物の細かい描写などは知らない。いま軽くネット検索したら割と「みんな知ってる」前提で書かれていた。

 興味はないけれど吉良上野介の名前くらいは知っているので、両国を散策した時に吉良邸跡(本所松坂町公園)の表示を見つけて軽く興奮した。思わず心の中で「吉良、覚悟せい」などと勇ましいセリフを唱えながら公園に足を踏み入れた。まあ、中に入っても吉良上野介の像があるだけなのだが。

 とにかく、年末に定期摂取するはずだった歴史モノの栄養を取りこぼしたので、いまは垣根涼介の「信長の原理」という小説を読んでいる。なんとなく戦国時代の人物としては王道というか、超メジャー過ぎて避けていたのだ。でも、ここは改めて主流を読んで、歴史の表街道を学ぶことにしよう。

 かなり前に池波正太郎先生の「幕末新撰組」という小説を読んだ。新撰組永倉新八を主人公に描いた新撰組の物語だ。その永倉の幼少期がかなりのヤンチャ坊主で、その頃のエピソードを信長の幼少期うつけ列伝と混同してしまっていた。調べながら記しているので、途中で気がついて良かった。

 ちなみに永倉がいかにヤンチャだったかというと、門番をしていた足軽に自分の排泄物入りの饅頭を差し入れて食べさせるという悪童ぶりだ。このエピソードを読んだ当時は、こんな小僧は絶対に好きになれないなと思ったものだ。それが、知らぬ間に信長のエピソードとして書き換えてしまった。