何も考えない

 仕事がない、ああ仕事がないと思っていたら、いつもの発注元から大量の仕事を匂わせる相談を持ちかけられた。いくらやっても限界の見えた仕事ではあるのだが、まとまった仕事が入るとありがたい。真剣にバイト探しする気力が萎えて来たところだったので、渡りに船の相談ではあったのだが。

 その仕事に入るまでの空白期間がある。ここを埋める都合のいい仕事がないので、収入面でも空白期間が生まれてしまう。短期のバイトで手っ取り早いのがあれば良いのだが、そういうバイトは肉体的にキツイものが多い。体を動かすのは好きだが、仕事で体を酷使するのは好きじゃないのである。

 以前、倉庫での軽い肉体労働に従事していたことがある。体力的にキツイということはないのだが、体格的に大きいので高所のものを動かす時などに重宝されたりする。でも、高所の不安定な作業は小さくて軽い人の方が向いている。大きくて重い僕の足場は常に不安定なので、危険度が増すのだ。

 この辺はクラシックな根性論で片付けられそうな部分ではある。僕も体育会系出身なので、根性がないヤツは基本的にはキライだ。ただ、自分に根性があるかどうかは相対的な評価だ。僕が気合いで高所作業をやりきってしまえば終わりなのだが、単純に作業の適正として不満を抱えてしまうのだ。

 このように、肉体労働的な現場での僕は不公平を抱えがちだが、学生時代からの刷り込みで「期待を裏切るのは罪」という意識もある。部活のコーチから施されたマインドコントロールなのだが、今でも期待には応えたいと思ってしまう。だから、その倉庫で高所の作業が不満でもやってしまった。

 結局、深く考えないで仕事すれば楽なのだ。絶対に不満はあるのだが、それに目をつむれば他は割と楽しい現場だったりもする。でも、心に生じた疑念は晴れない。それは酒場で溶かすしかない。そういうマインドセットを全て込みで考えると、働くというのはコスパの悪い行為だと思ってしまう。

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体を動かすための燃料となる食事は大事。ただ、過剰摂取になりがち。