隠れ潔癖症の憂うつ

 学生時代は部活の同期から「不潔日本代表」かのように言われていた。僕が寮に帰ってすぐ風呂に入らないからだ。本当なら僕も、部屋に帰ってすぐに風呂に入りたい。風呂といってもシャワーを浴びるだけだ。でも、僕の寮の部屋は母屋と呼ばれていて、寮母さんの家屋と一体化した部屋だった。

 他の部屋はアパート然とした間取りで、その部屋の寮生が変わりばんこでシャワーを浴びていた。僕の使わせてもらっていた風呂場は寮母さんとも共用だし、他にも数人の利用者がいて競争率が激しい。早い時間に入ろうとすると、必ず先を越される。そのあとは晩飯タイムになり、さらに遅れる。

 もちろん僕も不潔な状態は嫌だ。夕方のうちに石鹸の匂いを漂わせて、余裕の心持ちで晩飯と夜のリラックスタイムを迎えたい。でも、常に見張っていないとシャワーに入れない。面倒なので見張らない。だから、なかなか入れない。結局、全員シャワーを浴びたであろう頃合いを見計らって入る。

 細かい消灯時間は忘れたが、その時間ギリギリにシャワーを浴びていた。たまに、寮母さんがシャワールームで鼻歌を歌っている時があってビビる。たぶん、鼻歌を歌うことで「入ってますよアピール」をしてくれていたのだろう。当時は、そんな優しさを嘲笑い、部屋で同期と笑っていたものだ。

 シャワーとともに洗濯物も溜めてしまう。これも当然、寮母さんの洗濯機を借りることになるのだ。コチラの争奪戦はさらに激しい。消灯時間を過ぎても、誰かの洗濯物が終わっていないと止めるわけにもいかない。コチラも場合によっては寮母さんの洗濯物だったりする。だから迂闊に覗けない。

 洗濯物に関しては、僕も本当にウンザリしていた。毎日部活で汚れるし、練習着のストックも少ないので、仕方なく「イケそうな」ヤツを再利用(選択しないで再び着るの意)することになる。で、結局回せなくなってコインランドリーに行くという。あの洗濯戦争に関しては、遺恨が残っている。

f:id:SUZICOM:20200719084254j:plain

洗濯は干すのも畳むのも好きなので、干し柿もいつか作ってみたい。