擬似体験というやつさ

 朝のワイドショーで、都立高校の校則で「ツーブロックを禁止」することについて議論していた。その発端となった都議の質疑の模様も放送され、その際の教育長の回答が「事件や事故に巻き込まれないように」というものだった。そこで、その回答に関する「根拠を示せ」と突っ込まれてしまう。

 若い人の中にはツーブロックが「怖い髪型」という認識があるらしい。ツーブロックが怖く仕上がるのは、そこにグリースと色黒とヒゲとマッチョが追加されないとコワモテ化しないような気がする。ただ、そこまでセットすると確かに怖そうではある。最近の高校生は筋トレするから、怖いかな。

 この辺は、むかしで言うところの「リーゼント、パーマ、脱色の禁止」に当たるのだろう。今は言われなくてもリーゼントはしない。僕は髪型にこだわりがなかったので、校則を特に意識したことはない。ただ中学生の頃の「真ん中分け禁止」という校則には困った。伸ばせば自然に分かれるから。

 僕の中学生の頃、周辺の学校の中には「長髪禁止」を拡大解釈して「男子は坊主」という学校が多くあった。それに比べれば、伸ばせる分まだマシという感じなのだろうか。でも、一律坊主と言われた方がラクではある。そこを「伸ばしても良い」となると、あえて坊主にする理由もなくなるのだ。

 髪型を好き勝手することは自由なので、それを校則で規制するのは理不尽だ。でも、自由を抑制された中からアイデアで個性を主張することはできる。仕事でも、顧客に「この条件で」と言われたら、その範囲内で最高の案を提示することが求められる。校則も、そのように解釈することはできる。

 ツーブロック禁止に騒ぐことも、それに対しての回答にも、何も考えていない単調さを感じてしまう。なんでも自由にして良いと教えたところで、社会はなんでも自由ではない。その一環として校則を考えてると言えば、賛同を得られるとは言わないまでも、考えた跡は窺えるのではないだろうか。

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学生の時は見向きもしなかった立ち食いそば。買い食い禁止って何だ?