世が世なら、それは神

 大勢で出かける時に雨が降っていたりすると、誰かが「雨男(もしくは雨女)、誰だよ?」と聞いてきたりする。誰でもないし、聞いて来るお前でもあると思うのだが、そこでは黙っている。そういう言葉が出る時に限って、僕だけがその場に初参加だったりするからだ。だから、知らん顔をする。

 いつものメンバーでいつも通り出かけるときに雨が降っていても、特段その雨の責任を個人に背負わせようとはしない。でも、初参加の人間がいる場合には、軽いイジリも兼ねて雨警察の雑な捜査が行なわれる。僕もその場のノリに合わせて「あれ、僕ですかね〜」なんて言えば様式美は完結する。

 たぶん、そういうイジリには「この人は初参加なのでキャラ付けさせてあげよう」という親切心が多分に含まれている。いや、親切心プラス恩着せがましさを排除しているので究極に優しいとも言える。でも、それでも僕は雨男うんぬんの話は苦手だ。だから、ついシカトを決め込んでしまうのだ。

 なぜかは知らないが、雨男のレッテルを貼られると「ずっと言われる」ことになる。こんな非科学的なことでイジられるのは初回だけと思っていたら、それ以降も大したキャラ性を出せない場だと、雨男ひとつで延々イジられる。そのうち「今日お前いるのに晴れてるな」とか余計なイジリが入る。

 そんなイジリにうんざりしている人は、あえて自分から「雨男(もしくは雨女)なんです」と言ってきたりする。そんなことない、個人にそんな力はないと思う。でも、雨男(もしくは雨女)宣言する人は頑なで、自分の雨降らし武勇伝を語ったりする。僕は武勇伝に関心がないので、聞いてない。

 逆に晴れ男(もしくは晴れ女)を自称する人は、根拠のない自信に満ち溢れていることが多い。これは「オレは(アタイは)Sだから」と宣言する人のメンタリティに通じるような気がする。僕はこう定義する。その人の周辺だけが常に晴れ(もしくは雨)の状態を晴れ(もしくは雨)男女と呼ぶ。

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かつては雨乞いを神の使いと崇めたもの。雨男(もしくは雨女)も崇めよ。