ネットワーク上の人格

 最近よく聞くのが、仲間同士で直接会わずに、スマホやパソコンを介しての画面上で繋がって一緒に飲むというものだ。家飲みの気安さと、飲み会的な楽しさが両方味わえる。そう頭では理解しても、実家者なので家人の目が気になる。画面に向かって話している息子は、さぞかし気持ち悪かろう。

 昨日、とうとう仲間からの誘いがあったので、とりあえずグループ通話に参加してみた。スマホの画面に知った顔が並んでいて、リアルタイム感は伝わってきた。会話のタイムラグもないし、多少のクロストークも拾える。ただ、まだ不慣れなせいか、全員が同時に黙る状況には不安を感じるのだ。

 同時に黙るし、誰も目立った動きをしていないと「通信止まった?」と思ってしまうのだ。これが酒場なら、みんなが黙る瞬間なんてものはしょっちゅうあるし、気にならない。ただ、酒場での沈黙の場合は、次どのタイミングで話し始めたら良いか見失う時はある。その状況には似てなくもない。

 僕は昨日、かなり早い時間から飲み始め、そのグループ通話の時間にはヘベレケだった。だから、スマホからパソコンに移行しようとアプリを落としたりしている間に酔いが進み、準備ができた頃には面倒臭くなってしまった。だから、通信をパソコンに切り替えるタイミングで離脱してしまった。

 それでも、一応パソコンの画面から繋ごうと試みたりはしたのだ。それが一向につながらず、逆にアプリが落ちてしまう。しかも、かなり酔っているので、何度か違うライングループに電話してしまった。そのグループは記憶にはないが、合コンでその場限りのグループを作った時のもののようだ。

 その、忘れていたその場限りのライングループに反応があった。僕の何度かの誤送信により、誰々が「退会しました」と表示されたのだ。不愉快極まりない。即刻、僕も退会した。そんな画面には映らないやり取りを経て、これ以上続けたら間違いを起こしそうだったので、大人しく寝床についた。

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巨大で複雑な構造の歩道橋を見ると、各地の県庁所在地の駅前を思わせる。