ままならない世界

 思い通りにいかないことを、自分の描いた通りに変更させられることを自由と呼ぶと思う。学生時代は思い通りにできないことばかり。反抗したからといって変わらない。ただ、自分は納得していないという意思表明に過ぎない。それは、ワガママではなく、同調圧力に屈したくないという意思だ。

 いま現在、世界中が「ままならない」状況に置かれている。新しい感染症が生まれ、それが広がり、対処する手段が後手に回っている。時間が経てば、いずれワクチンなどが開発されて対処できるようになるだろう。しょーもない情報に振り回されずに、座して時を待つのみとしか言いようがない。

 ただ、そんな中でも学生スポーツの中止などは無念である。ニュースで、センバツ高校野球の出場校に監督が中止を伝える場面を報じていたのを見た。監督さんは「目に見えない敵に負けた」と選手に伝えていた。彼らの信頼関係の中で出た言葉なので、無念な胸のうちは理解し合っているだろう。

 実際には彼らは誰も負けてはいないのだが、諦めて次に行くためにはリセットしなければいけない。やはり、学生スポーツにおいては、勝敗がつかないと終われない気持ちがあるのだろう。すべての参加校が「目に見えない敵に負けた」と考えたならば、気持ちの切り替えができるのかもしれない。

 スポーツは、思い通りにいかないことが多い学生にとって、数少ない自由を手に入れる機会でもある。練習や試合によって、自分の成長を感じることが自由である。目的があり、それに近づくことができる自由である。その目的は達成できるかもしれないが、達成できない人が多いのが青春である。

 この現状を「パンデミック」という言葉にして発表してくれたことは、いろんな状況を子供たちに説明するのに分かりやすいと思う。世界的な非常事態だから、誰もが協力し合わなきゃいけないという共通認識だ。まさに「目に見えない敵」なので、備えようがない分、負ける覚悟はできたと思う。

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早く飲み屋横丁に気楽に出かけたいものだが、そもそも僕は断酒中なのだ。