リミットにスライディング

 締め切りに追われていた仕事が終わると、ナチュラルハイ状態になる。やってる最中は一刻も早くPCを落としてデスクから離れたいと思っていたのに、終わると離れ難くなっている。正確には客先とのやり取りが終わっただけで、最終的な仕上がりになっていないので次の作業工程に進むのだが。

 でも、仕上げの作業は簡単で、発注元にデータを戻す段階で仕上げれば良い。そう思って一旦はデスクから離れるのだが、後ろ髪を引かれてしまう。このナチュラルハイ状態の勢いを借りて、一気に仕上げまで終わらせてしまえば後でかなり楽なのだ。それに、まだ終わらせたくない気持ちもある。

 部活でも合宿の最終日の練習は盛り上がるものだ。だいたいラグビーの合宿は、ランパスという定番の練習で終わることが多い。数人が横並びでパスしながらダッシュする練習だ。キャプテンの「ラスト1本」の声がかかるとテンションが上がる。これで最後だと思うと、出し惜しみしてられない。

 高校最後の夏合宿では、最終日にキャプテンの部屋の連中が全員遅刻してきた。他の部員が待つ中、焦ってグランドに走ってきた。顧問の先生はガッカリしていた。それは、最後のランパスで「ラスト1本」とかける声に説得力がまったく無くなるからだ。だから、その時の先生は悲しそうだった。

 その悲しみを消すためには、遅刻した連中が志願して「自分らだけで追加ラスト10本お願いします」と、その部屋の3年生だけで走れば良いのだ。それに釣られて、僕ら遅刻してない3年生も途中から参加する。下級生も釣られて走る。スポーツを感動的にするのは、選手の自主性しかないのだ。

 実際は、先生が「遅刻した罰」としてキックダッシュ的な罰練を課したような記憶が薄っすらある。だから、笑い話としては記憶に残っているけれど、部活の感動エピソードとは程遠いのである。そもそも遅刻した理由が、最後の夜なので深夜のお色気番組を観ていたからというトホホな話なのだ。

f:id:SUZICOM:20200305092407j:plain

川崎のソウルフード? ニュータンタンは地元埼玉でも展開。高校時代の思い出の味。