積もる話に埋もれて眠れ

 酒場で程よく酔い、そろそろ帰ろうかなと会計を済ませ、まだグラスに半分ほど残っているビールをすすりながら帰り支度トークをしているところに、知った顔の常連が通りかかって、そこに店主が声をかけて「一杯飲んでく?」と聞いたら当然飲むわけで、僕もつられて追加オーダーしてしまう。

 なんとなく話してから帰ろうと、別に用事もないのに居残り続けた。常連だからと言って、誰とでも親しく話すわけではない。ただ、その人が最近「良い気が出ている」というか、調子が良さそうな気がするので、好調のお裾分けを得ようと残ってみた。単純に、この頃のその人は良い感じなのだ。

 たぶん、仕事も順調で、最近マンションも購入して安定しているのだろう。僕と近い年齢で独身男なのだが、その辺りの状況にも慣れて来ているようだ。そこに来て、この頃女性との良い噂を聞いたりもしたので、ほんのりとした幸せオーラのようなものを非スピリチュアル主義の僕も感じるのだ。

 その店の閉店時間は11時なのだが、僕が最初の会計をした段階で少し過ぎていたと思う。そこから2杯ほど飲んで、家に着いたのは1時過ぎていた。平日の、しかも月曜日からいい気なもんだ。その上、医者から止められているビールを、致死量に挑むかのように痛飲するという鬼の所業である。

 昨夜、飲んでいる場で、酒場の店主と翌日のランチの約束をした。僕の大好きなうどん屋に行くことになった。どんな流れだかスッカリ忘れてたけれど、バイト学生と女性店主と僕で、僕の運転で行く約束になった。そのうどん屋の話は頻出していたので、いい加減連れてけということなのだろう。

 話しながら「この約束は忘れそうだな」との懸念があった。こういうのをコロッと忘れてひたすら謝るという具体的な記憶が残っている。そうならないように、イチバン記憶回路が新しいバイト学生にラインを強要しておいた。自分のスペックが低いなら、高機能なもので代用すれば良いだけの話。

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愛の証ではなく、日頃の感謝の印として既婚女性から高級チョコを貰えた。