2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

あやしい目撃者の憂鬱

僕は今まで、偶然街で誰かと会うということがほとんどなかった。たぶん、その人数は片手に余るだろう。でも、赤の他人が僕の目の前で偶然居合わせてテンション上がる場面には何度か遭遇している。その数は片手では足りない。他人のことなので、その偶然性が…

六本木はオレを知らない

大学生の頃、僕は部活しかしていなかった。他のことはオマケであり、ラグビー部で燃え尽きるつもりで過ごしていた。だから、日常は雑だ。別に荒れていたわけではないが、キャンパスライフを楽しもうとする気がなかった。学科の同級生と仲良く遊ぶこともない…

期待、絶望、諦めとその先

子供の頃は全然熱心に観ていなかったプロ野球だが、ここ数年は酒場の仲間の野球熱が高まっているので熱心に観ている。僕から「横浜ファン」を公言してしまった手前、他球団のファンとのプチ対立構造のようなものに乗る必要がある。いや、そういうノリは参加…

バーガー・イート・バーガー

今年の始めに保健指導の担当者と面談し、それ以降ジャンクフードを避けてきた。特にハンバーガーは一度も食べていなかった。なぜ、それだけを避けてきたのかと言うと、保健指導で最初にハンバーガーを食べるかを聞かれたからだ。そのことで、バーガーに対し…

糖分欲しけりゃ甘くなる

運動中にスポーツドリンクを飲むと、ものすごく甘く感じる時がある。学生時代に誰かから言われた言葉によると、それは「体が糖分を欲していると甘く感じる」とのことだった。それを長い間信じていたのだが、僕はあまり自分を信用していないので、念のためネ…

スクリーンサイズの調整

小説を原作にした映画の告知などで〈映画化不可能と思われていたあの作品〉という表現を見かける。それは、原作の世界観が難解かつ壮大でまとめ切れないという意味だと思っていた。でも、単純に原作のボリュームが上下巻にわたるので、映画の尺に収まらない…

面影すら見えていない

先日、ジョギングの帰り道で信号待ちしていたら、古い国産のジープが目の前に停まっていた。あまり見ない車種だが、それと同じクルマに乗っている知り合いがひとりいる。小・中学校の同級生で、数年前に同窓会で30年ぶりに再会したときにクルマの話をした…

狭小空間にハマれない男

過去に僕が病院に行ったのは、ほとんどが整形外科だった。いや、イチバン多いのは歯科医院に決まっているが、いわゆる病院の場合は整形外科が圧倒的に多いだろう。それはスポーツで負ったケガの治療だったり、検査だったりする。骨折したことはないけれど、…

叫ばずにはいられない

昨日、配信ライブを観ていたら、女性アーティストがMCで「私が今言いたいことはひとつだけ、コロナの馬鹿野郎ー」と叫んでいた。みんなが対策のことで不満を抱えていろいろ言うけれど、確かに本質はそこだなと思った。それを言っても何も解決しないけれど…

深層心理が求める画角

現代は、すべてのスマホユーザーが高画質なデジカメを持ち歩いているようなものだ。街は素人カメラマンで満ち溢れている。日常の気づきを写真に映し、そのことをキャプション付きで投稿しているのだ。誰もが何かしらのソーシャルメディアに所属しており、気…

夏のジュヴナイル

学生時代、といってもせいぜい中学生くらいまでだと思うが、夏休みには読書感想文を書かせられた。今の子供は知らないが、僕は何度も書いてきた。作文は得意だったので何ら苦にならない課題だった。ただ、本を読む習慣がなかったので、課題図書を選ぶのが面…

その海パンは透けている

いったい何割くらいの人間が「夏=海」という方程式に従って行動しているのか知らないが、僕はそれほど海水浴に焦がれる若者ではなかった。行く面倒が先に立ってしまうのは海なし県育ちの性だろうか。海への距離的な面倒臭さが頭にあるので、夏のプールも似…

偽りのヘルシーライフの終焉

昨年から今年にかけては全世界的に「何もなかった年」として記憶されそうだ。特に昨年のことは、すでに何も覚えていない。覚えてはいないが体には刻まれている。何もしなかっただけではなく、怠惰に過ごしていたのでしっかり太った。その余分を削るためだけ…

荒くれハウンドドッグ

僕が日々走っているジョギングコースは用水路沿いで、そこには遊歩道が並走しているので散歩コースでもある。また、釣り人もいるので寂しい道ではない。もっとも多いのは犬の散歩だろう。リードを目一杯伸ばして散歩している人は迷惑だ。犬の挙動が読めない…

いまが季節の落とし穴

ここ数日、ものすごく涼しい。本来なら灼熱の日々をウダウダと過ごしているところだ。天気が悪いのは気が滅入るのだが、この時期に暑さの中休みのような涼しさは少し嬉しい。とはいえ雨は不都合なもので、洗濯物が乾かなくて困る。また、最後に晴れた日に洗…

向こう岸まで飛んで行け

僕が中学生時代、陸上部にいた頃の専門のひとつは砲丸投げだった。走るのが速くなかった僕は、陸上のもうひとつの側面であるフィールド種目に回されたわけである。それにしたって砲丸投げは、体格の良い力自慢が集まるパワー系競技で、僕のようにヒョロ長い…

赤いキャップの方にしてくれ

小さい頃はマヨネーズが嫌いだった。味に慣れていなかったので、最初のうちは気持ち悪く感じていたのだろう。我が家の食卓にあまり乗らなかったというのもある。でも、いつの間にかマヨネーズなしでは済まないカラダになっていた。特に唐揚げには絶対にマヨ…

食べられないカラダ

僕はもともとよく食べる方だ。大食い選手権に出るような特別な大飯食らいではないけれど、外食で一人前を普通に頼むと全然足らない。大盛りが設定されたメニューなら、まず間違いなく大盛りにする。町中華の店でラーメンを食べる時は、餃子とライスを一緒に…

大事なことを忘れている

あまり外部との連絡を頻繁に取らないので、何か肝心なことを忘れているような気がする。まあ、連絡を取るべき外部とは仕事先なので、そこと頻繁に連絡を取らないということ自体が非常事態なのだが。なんとなく毎年、お盆周辺はヒマになるので、その点はあま…

スパイシーの向こう側

辛い食べ物は好きだが、辛いから好きなわけではなく、美味いものと辛味のバランスで味がアップデートされるものが好きなのだ。辛いものだけが好きなわけでも、辛さに強い耐性があるわけでもない。しっかり汗だくになるし、翌日はトイレで呻き声を漏らすこと…

靴洗い日和に我思ふ

ジョギングで使っているスニーカーが玄関に異臭を放っている。毎日履いてりゃ臭くもなるとは思うが、それにしても臭みが尋常じゃない。なんというか、覚えのない匂いとでもいうか。自分が履いてるのだから、匂いの元に思い当たるフシがあって然るべきだ。で…

TAとヤスとマーが笑ってた

はじまるまでは賛否両論あったオリンピックだったけれど、結局は盛り上がった。そのスポーツを日本でイチバン上手にプレイする人々が、この国を代表して国際大会に出場するだけのことだ。現在の状況がどうであれ、普段からそのために鍛錬している人々のゴー…

ないがしろになった世界

あまり真剣に考えたことはないが、ポリコレ案件について思うところはある。思うところはあるけれど、おおっぴらに語れるレベルではない。それは、半端な知識と覚悟で語れるものではないからだ。ただ薄ぼんやりと「なんか生きづらいな」と思わせる元凶がそこ…

ブラック・ベンケイ・クラブ

酒場の仲間が近所の川でカニを取ってきたと言って、行きつけの居酒屋の軒先に置いていった。そのカニは、僕が子供の頃に慣れ親しんだクロベンケイガニだ。河原で遊ぶうちにカニの存在を認識して以降、カニ取りに夢中になった。土手の小穴に生息しているので…

ブラッドタイプアレルギー

物心ついた頃から、僕は他人の逆をいくことの方がカッコいいと思っていた。いや、小さい頃は単にかまって欲しいとか、目立ちたいという心境だったのかもしれない。でも、それは僕がそう思うような外的要因があったからだ。それは血液型だ。僕はAB型で、子…

果てしないリテラシー

たまに聞くリテラシーという言葉には、人を見下すような上からの目線を感じてしまう。言葉の意味は「識字率」とでも訳すのだと思うが、ある分野に対しての共通認識というか、習熟度を測るような意味あいも含まれる。その専門知識を「わかっているか」という…

難攻不落の城を攻めろ

何度やっても慣れない日常の雑事の中でも、スマホのデータ移行や初期設定ほど時間のかかるものはない。仕事でパソコンを使うことが多いので「慣れている」と勘違いされることが多いが、僕は限られたソフトしか操作できない。しかも、そのソフトの一部の機能…

逆噴射スターシップ

最近よく釣りに行く知り合いがいる。居酒屋店主の女性なのだが、その飲食店周りの知り合いに釣り好きが多いらしく、よく誘われるらしい。海釣りのようだ。海釣りはメンツが多い方が楽しい。遠出して乗り合いの船で釣るので、仲間が多い方が楽しいのだ。それ…

メトロポリスのドリフト王

久しぶりに地下鉄に乗ったら、運転がひどく荒く感じる。今日は座れたのだが、発進時と停車時にかかるGで筋トレの気分だ。みんな自粛で体なまってるからほぐしてやろうという親切心だろうか。だとしたら余計なお世話だ。とにかく、発進停止のたびに構えてし…

この街のスワンソング

アーティストが遺作で残した名演のことをスワンソング(白鳥の歌)と言うそうだ。白鳥が死ぬ寸前に美しい声で鳴く、という故事に基づいた言葉らしい。当然ながら諸説あるようなのだが、そんな話があってもいいと思う。真実かどうかではなく、白鳥の歌と表現…